#3鳥と私とこどもと興味の広がり
『興味』
歳を重ねると新たに面白いと思えるものもあり、つまらなくなるものもあり。
数は少ないけど、こどもの時からゆるく長く続いているのものもある。
昔は、1つの角度からとにかく興味に向かってモノを見ていたから、エネルギーはすごいけれど、気付けないものも多かったかった気がする。
時が経ち、そのもエネルギー分散されていくと、同じ分野の『興味』も角度を変えて広がり、新たな視野を得ることもある。
それはエネルギーを注ぐ程じゃない小さな『興味』なのだけれど、私の心を一瞬フワッと軽くする、貴重な息抜きになる。
最近発見した、自分をワクワクさせる貴重な『興味』のことを、鳥と私とこどもの関わりから綴っていく、そんなお話です。
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ある時 突然
鳥ってかわいいな と思った。
今までは とにかくイルカに夢中だった。
イルカ以外は 全く興味がないといってもいいくらい。(動物の中で圧倒的にという意味で)
あの流線型フォルムの美しさ、ちょっと不思議な感じ、高度な脳、人を認識できる動物、社会性がありどのように個体間で会話をしているのか、歌を歌うって本当なのか、エコロケーションでどんな世界を感じとるのか、夢を見るのか、人を助けるのはなぜなのか、 愛情はあるのか‥
こんな具合で、イルカに向かう興味は 尽きなかった。海も好きだし。
だから、 イルカと泳いで暮らす生活に憧れた。
イルカ愛は尽きないけれど、色々な動物にふれて、今はコツメカワウソが最上級。
基本動物好きだが、一方で、苦手な動物もいる。
鳥 だ。
特にクチバシの尖っているヤツ。
先端恐怖症なわけではないのだけれど、 明らかに 狙って鋭いクチバシでつついてくるから、 実際の痛さに想像力の痛みも加わって、やられる前から痛い。とにかく恐怖だった。
古い記憶
幼稚園の頃、ニワトリの産んだ卵が欲しかった。コロンと薄いピンクがかった小さなたまご。自分で取れたら持って帰ってOKだった。
毎日たまごがあるか気にかけ、そのチャンスが巡ってきた。
たまごはすぐ取れそうな位置にあった。でも ニワトリが睨んでくる 。あのクチバシでツンツンされたら。。 しばらく小舎の前で葛藤して泣く泣く諦めた。 結局 ニワトリの迫力に負けたのだ。
少し古い記憶
ニワトリはもう克服したけど、得意な方ではなかった。
ニワトリ小舎には、大きなシチメンチョウがいた 。そのシチメンチョウは 尾羽根を広げバババと震わせながらホロホロホロと言って 威嚇をしてくる。
私が背中を向けた瞬間を狙い、突然の早足で 突っつこうとしてくるから、スキも何もあったものじゃない。
他にも...
掃除をしようと思ってカンムリヅルの小舎に 入る時。もう明らかに入り口の真上の止まり木から頭を狙って待っている。緊張の一瞬 。ホウキでカバーするのが遅れたらやられる。想像だけでも痛いし恐怖でしかない。 あなたの部屋を掃除したいだけなのになぜそんなに敵意むき出しなのか。
ヒクイドリはニワトリと比べ物にならないデンジャラスな鳥だから、基本近づくことはしないけど、一度エサ箱を入れ忘れたたために、ヤツが寝室に居る中で箱をサッと入れたことがある。気付かれないうに気を外させて緊張しながら一瞬でサッと。(嘴より爪とキックがヤバい)
アンデスコンドルは、大きさも見た目もなかなかの迫力がある。だから、小舎の中で一緒になんて、最初は考えられなかった。 でも変な緊張は最初だけで、実は特に何もしてこない。むしろ気を遣って避けてくれる。お互い適度な距離のわかる干渉し合わない ある意味平和な関係だった。
モモイロペリカンはあの大きなクチバシでパクンッッと体や手を挟もうとしてくる。カプンカプンと音を立てて嘴を開け閉めする。クチバシの先端が少し曲がっているので、そこの部分は痛い。クチバシ恐怖の私にとって、長く細い大きな嘴を持つペリカンとはちょっと仲良くなり難い。(鳥好きな友人に言ったら非難されそうだが)
ペンギンは 立ち姿が可愛い。時間を忘れてずっと見ていられる。だから好きな動物なのだけど、 でもやっぱり鳥なのだ。嘴は苦手だ。そして、とにかく臭いが強烈。
この臭いに慣れなかったら、この道(夢)は諦めようと思ったくらい、とても芳しい香りだった。
鳥全般に言える気がするのは、
気が強い性格で好き嫌いがハッキリりしているということ。
この生き物は、建前的なものなど微塵もない。好き好き光線もすごいけど、嫌われたらとことん攻撃してくる。
こちらの方が体が大きくてもお構い無しに 平気で向かってくる。 しかも、にらみを効かせながら。
例えばペンギン。
中でもオレ様気質のヤツは 、遠くからでも見掛けたら追いかけ攻撃をしてくる 。
幸い私は嫌われていなかったみたいでホッとしたけど。追いかける速さといったら自分の目を疑う程だ。ヨチヨチ歩くイメージは全くない。短い脚でバーっと走るスピードは、人間の速足では追い付かれてしまう程だ。階段も楽々上っていく。想いを成し遂げるまで諦めない執念。あー恐ろしい。
最初の頃、掃除中に 後ろからとても強く誰かに背後を押された(蹴られた感覚)。
ふざけて先輩が押したのかと思ったのだけれど、 後ろを振り返っても誰もいない 。
そこに居るのは、白黒模様のペンギンと私。 そのうちの一羽が首を傾けながら私の事を睨んでいる 。オラオラ~と今にも難癖付けて絡んで来そうな形相だ。どついたのはオマエか!?小さいのにどこにそんな力があるのか、想像も付かなかった。
餌を食べるときも 人を選んで食べるやつもいる。 渋々 食べている感じが ちょっと小憎らしい 。でも腹ペコに負けて 私の所に寄ってくる辺りはかわいい。 ただ 魚ではなく私の指をめがけて、 ドンッッと クチバシを強く当てながら 食べるから、 人差し指と 親指のあたりが内出血でじんじん痛む。ふてくされながら食べるんじゃないよぉ!!
鳥の苦手なことばかり長々と書いてしまったけれど。
そんな 鳥たちとの長い戦いは終わりを迎え、しばらくすっかり忘れて生活をしていた。
最近は長いこと動物達と離れていたので、 身近に 生き物を感じることも少なくなってしまった。
行動も制限される中で、家の近くの森や公園の池のなど 色々な種類の鳥がいることに 気がついた 。
今まではカラス、ハト、スズメ、あとは白と黒の小鳥ぐらいの認識しかなかったけれど、
目線の低いこどもは、『 動く+飛ぶ+鳴く+不思議な生き物』に気付きやすかった。
おかげで 野鳥の魅力を感じる感性を獲得できた。
風を捉えながら舞う猛禽類の悠然とした飛行、マガモの内に隠れた羽根の色が サファイヤ色の深いブルーの輝きだったり、 写真でみるようなメジロのコロンとした愛らしい姿、 芽吹き出した森に響き渡るウグイス特有のあの鳴き声に、姿は見えなくとも心が踊る。
そして、
最近は野生のキジを何度か見かけた。
見かけた瞬間ものすごくテンションが上がった。 だって野生だよ !!!
畑をトコトコ歩いていて 少し遠くから近寄っただけでもかなり警戒心が強く すぐに飛び去ろうとする。
農道を横切った時に追いかけたら、ニワトリが走るよりもずっと速い速度で 、タタタターッッと足早に半分飛びかけながら 急いで畑の方へ逃げて行った。
今まで鳥を見てテンションが上がることなどほぼなかったのだけれど、 こどもが興味を持ち一緒に共感できる環境があるということは、こんなにも自分の世界が広がるのかと 再認識 いや 初めて知った気がする。
こどもの目線で 世界を見る 。
遠い昔に 忘れてしまった 感覚だったけど、
自分の目 と 小さなキラキラの瞳 を通して合わせた時に見える景色は、懐かしいくも鮮やかに感じられる。
些細だから見落とすことが多いだろうけど、見方の変化を楽しみながら、自分の中に広がる新たな感覚を楽しもうと思えた。
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そんなお話でした。
んじゃ、またね~☆ミ